
凝固剤とは、液体状の材料をゼリー状・ゲル状に固めるために使う食品材料の総称で、ゼラチンや寒天、アガー、ペクチンなどが代表的です。原料や固まる仕組みによって食感や扱いやすさが大きく変わるため、菓子づくりの現場では用途に応じた使い分けが欠かせません。この記事では、凝固剤の種類ごとの特徴と代用の目安、現場での使われ方までをわかりやすく解説します。
凝固剤とは、液体状の材料をゼリー状・ゲル状に固めるために使う食品材料のことです。
凝固剤は英語で「gelling agent(ゲル化剤)」とも呼ばれ、菓子だけでなく料理でも幅広く使われています。原料の由来によって、動物性のゼラチン、海藻由来の寒天・アガー、果物由来のペクチンなどに大別されます。それぞれ固まる温度や食感が異なるため、作りたい菓子に合わせて選ぶ必要があります。
動物の皮や骨に含まれるコラーゲンから作られるたんぱく質系の凝固剤です。20℃以下で固まり始め、50〜60℃程度の低めの温度で溶け始めます。体温に近い温度で溶けるため口どけが良く、やわらかくぷるぷるとした食感になるのが特徴です。
てんぐさなどの海藻から作られる、食物繊維主体の凝固剤です。90〜100℃まで沸騰させないと溶けませんが、30〜40℃ほどの常温域で固まり始めます。常温でも溶けにくく型崩れしにくいため、和菓子や気温の高い季節の菓子に向いています。歯切れがよく、ほろっと崩れる食感が魅力です。
海藻由来のカラギーナンとマメ科種子由来のローカストビーンガムを組み合わせた凝固剤です。90℃以上で溶かし、30〜40℃で固まり始めるという点は寒天に近いものの、透明度が高くぷるんとした弾力が出るのが特徴で、見た目の美しさを活かしたい菓子に向いています。
柑橘類やりんごなど、果物に含まれる天然の多糖類です。LMペクチンはカルシウムなどのミネラル、HMペクチンは糖分と酸によってゲル化する仕組みを持ち、ジャムやフルーツ系のナパージュによく使われます。
ゼラチンはムースやパンナコッタ、ババロアなど口どけの良さを活かした冷菓に、寒天は水ようかんや杏仁豆腐など常温流通が必要な和菓子に、アガーは透明感を活かしたフルーツゼリーやコンポートのゼリー寄せに、ペクチンはジャムやナパージュにと、それぞれ得意分野が分かれています。
凝固剤同士を置き換える際は、凝固力の違いに注意が必要です。目安として、粉ゼラチン5gに対しアガーは約3gで代用できるとされますが、食感や保存性まで完全に一致するわけではありません。また、生のパイナップルやキウイ、パパイヤなどたんぱく質分解酵素を含む果物は、加熱せずに使うとゼラチンが固まりにくくなるため、加熱処理をするか寒天・アガーに切り替える対応が必要です。レシピ通りの分量で単純に置き換えるのではなく、それぞれの溶解温度・凝固温度の違いを踏まえて扱うことが、失敗を防ぐポイントになります。
現場ではほぼ同じ意味で使われています。食品表示の用途名としては「ゲル化剤」「増粘安定剤」といった名称が使われることが多く、凝固剤は現場での呼び方に近いといえます。
分量を調整すればある程度は代用できますが、完全に同じ仕上がりにはなりません。ゼラチンは口どけの良いやわらかな食感、寒天は歯切れの良いほろっとした食感になるため、目指す食感に応じて選ぶ必要があります。
原料であるカラギーナンとローカストビーンガムの分子構造が細かく、光を通しやすいゲルを作りやすいためです。この特性から、フルーツの色や層を見せたい菓子によく使われます。

執筆者 森岡千明|株式会社スナックミー パティシエ・商品開発
大阪のデザート専門店や東京の三ツ星レストラン、ケーキ店などでパティシエとして経験を積んだのち、株式会社スナックミーへ入社。商品開発職を経て、現在はカスタマーサポートを担当。商品開発で培った経験をもとに、お客さま一人ひとりの声にていねいに向き合いながら、福利厚生向け置き菓子の魅力や「おやつ時間」の楽しみ方を伝えるコンテンツ制作にも携わる。好きなおやつは『さつまいもチップス』と『サクほろ 濃厚ココアクッキー』。
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