白く四角い皿にドライパイナップルが置かれている様子

水分活性とは?仕組みとポイントをわかりやすく解説 

水分活性(Water Activity、略してAw)は、食品の保存性を左右する重要な指標のひとつです。同じ水分量の食品でも、水分活性が異なれば微生物の増殖リスクや賞味期限の設計が変わります。この記事では、水分活性の定義や仕組み、微生物との関係、菓子づくりでの管理方法までわかりやすく解説します。

水分活性とは

水分活性とは、食品中に含まれる水のうち、微生物が利用できる「自由水」の割合を示す指標です。
水分活性【英:Water Activity、記号Aw】は、食品が示す水蒸気圧と、同じ温度における純水の水蒸気圧の比で表されます。値は0〜1の範囲をとり、純水はAw=1、乾燥した食品ほど0に近づきます。水分含有量(%)が「食品に含まれる水の量」を示すのに対し、水分活性は「その水がどれだけ自由に動けるか」を示す点が異なります。糖分や塩分と強く結びついた水(結合水)は微生物に利用されにくく、Awを押し下げる働きをします。

水分活性の仕組みと対策

水分活性を決める要因

水分活性の高さは、水分量そのものよりも食品中の成分構成によって決まります。糖・塩・アミノ酸などの溶質は水分子と結びついて自由水を減らすため、同じ水分量でも糖分や塩分が多い食品ほどAwは低くなります。焼き菓子やドライフルーツで砂糖漬けや塩蔵の工程が使われるのは、この性質を利用して保存性を高めるためです。また、温度や食品の物理構造(多孔質かどうかなど)もAwにわずかに影響します。

微生物の増殖と水分活性の関係

微生物の多くは、生育に一定以上の自由水を必要とします。一般に細菌はAw0.91以上、酵母は0.88以上、カビは0.80以上でないと増殖しにくいとされ、食中毒の原因になる黄色ブドウ球菌でも0.86程度が増殖限界とされています(※これらの数値は一般的な食品科学の目安値であり、食品の種類や保管条件によって変動します)。塩や糖に強い一部の微生物(耐塩性細菌・耐浸透圧性酵母など)はさらに低いAwでも生育しますが、Aw0.60を下回るとほとんどの微生物が増殖できなくなります。この目安が、常温保存できる食品の設計基準になります。

水分活性を下げる方法

Awを下げる代表的な方法は、乾燥によって食品中の水分量そのものを減らすことと、糖・塩・ソルビトールなどの保水剤(ヒューメクタント)を加えて自由水を結合水に変えることの2つです。ドライフルーツやジャーキーは主に乾燥によって、半生菓子やしっとり系クッキーは糖分・保水剤の配合バランスによってAwをコントロールしています。近年は水分活性計を使い、開発段階で数値を実測しながら配合を調整するのが一般的です。

菓子製造での水分活性管理

菓子製造の現場では、常温保存かつ賞味期限の長い商品を設計する際に水分活性が重要な判断材料になります。半生菓子やしっとりクッキー、ドライフルーツ、ジャーキーなどは、冷蔵に頼らず微生物リスクを抑えるためにAwを一定値以下に管理する必要があります。開発段階では試作品を水分活性計で測定し、狙った保存性が確保できているかを数値で確認しながら配合や乾燥条件を調整します。

現場で起こりやすいのが、水分含有量とAwを混同してしまうケースです。同じ水分量(%)の食品でも、糖分や塩分の配合次第でAwは大きく変わるため、水分量だけで保存性を判断すると誤った基準になりかねません。また、包装後に外気の湿度を吸ってAwが徐々に上昇することもあるため、防湿性の高い包材選定や乾燥剤の併用、保管環境の湿度管理まで含めてAwを維持する視点が欠かせません。

水分活性に関するよくある質問

水分活性と水分含有量(水分量)の違いは何ですか?

水分含有量は食品に含まれる水の重さの割合を示すのに対し、水分活性は水のうち微生物が利用できる自由水の割合を示す指標です。同じ水分量でも、糖分・塩分の配合によって自由水の量が変わるため、水分含有量が同じでも水分活性が異なる食品があります。

水分活性はどうやって測定しますか?

水分活性計と呼ばれる専用の機器で測定します。密閉容器内で食品と平衡状態になった空気の湿度(または露点)をセンサーで検知し、水分活性の値に換算する仕組みです。開発現場では試作品ごとに数値を確認し、狙った保存性が得られているかをチェックします。

常温保存できる食品の水分活性の目安はどれくらいですか?

一般的にはAwが0.60を下回ると、ほとんどの微生物が増殖できなくなるとされています。ただしこれはあくまで目安であり、実際の食品表示・保存基準は食品衛生法令等の個別基準に従ってご確認ください。食品によって求められる安全域は異なるため、実際の商品設計では水分活性に加えてpHや加熱殺菌工程なども組み合わせて総合的に保存性を判断します。

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執筆者 森岡千明|株式会社スナックミー パティシエ・商品開発

大阪のデザート専門店や東京の三ツ星レストラン、ケーキ店などでパティシエとして経験を積んだのち、株式会社スナックミーへ入社。商品開発職を経て、現在はカスタマーサポートを担当。商品開発で培った経験をもとに、お客さま一人ひとりの声にていねいに向き合いながら、福利厚生向け置き菓子の魅力や「おやつ時間」の楽しみ方を伝えるコンテンツ制作にも携わる。好きなおやつは『さつまいもチップス』と『サクほろ 濃厚ココアクッキー』。

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