
カラメル段階とは、砂糖を煮詰めていく過程で温度が上がり、色や香りが変化していく状態を指します。パティシエは色調や温度帯からこの段階を見極め、カラメルソースやヌガティーヌ、ボンボンのコーティングなど、仕上げたいお菓子に合わせて火を止めるタイミングを判断します。この記事では、カラメル段階が起こる仕組みと焦がしすぎを防ぐポイント、色調・温度帯による分類と現場での見極め方、よくある質問までをわかりやすく解説します。
カラメル段階とは、砂糖を加熱して煮詰めていく過程で、糖が熱分解して色や香りが変化した状態です。
カラメル【仏:caramel】は、砂糖(ショ糖)を加熱すると起こる化学反応によって生まれる、褐色で香ばしい風味を持つ物質です。カラメル段階は、この反応が進み始める温度帯(目安としておよそ160℃前後以上)に達し、無色透明だったシロップが徐々に色づいていく状態を指します。菓子製造の現場では、糖を煮詰める際の状態をいくつかの段階に分けて扱うことが多く、カラメル段階はそのなかでも仕上がりの色や香りを大きく左右する工程として扱われています。
シロップを加熱していくと水分が少しずつ蒸発し、糖の濃度が上がるとともに温度も上昇していきます。温度がおよそ160℃前後を超えたあたりから、ショ糖の分子が熱によって分解・重合するカラメル化反応が進みはじめ、褐色の色素と特有の香気成分がつくられます。この反応は温度が高くなるほど急激に進むため、わずか数秒で狙った色を通り越してしまうことも珍しくありません。
焦がしすぎを防ぐには、鍋底全体の色が均一に見える浅めの鍋を使い、加熱の終盤は火を弱めてこまめに色を確認することが基本です。狙った色に達した瞬間に鍋底を氷水や冷水につけると、余熱による温度上昇を止めて色の変化を狙ったところで止められます。一度濃く色づきすぎた砂糖は元の色に戻せないため、少し手前の色で火から下ろす意識を持つことも大切です。
カラメル段階は、色調によって大きく3つに分けて扱われるのが一般的です。フランス菓子の専門書では、それぞれの色調にフランス語系の呼び方も使われます。
ペールキャラメル(薄い黄色):カラメル・クレール(caramel clair)
ゴールデン/アンバーキャラメル(琥珀色・標準):カラメル・ブロン(caramel blond)
ダークキャラメル(濃い褐色・苦味強め):カラメル・ブラン/ルー、カラメル・フォンセ/ノワール(caramel brun/roux、caramel foncé/noir)
フランス語表記では、濃い色調をさらに細かく呼び分けることもあります。淡い色調は繊細な風味を活かしたいソースに、濃い色調は香ばしさや苦味を効かせたいお菓子に向くとされています。
色調に加えて温度帯を目安にすると、より再現性の高い見極めができます。
160℃前後:淡色(ペール)
170〜175℃:黄金色(ゴールデン)
180〜185℃:褐色(ダーク)
190℃以上:焦げ(カーボナイズ)に近づく温度帯
温度と色の変化に伴って、甘み中心の風味から香ばしさ、さらに苦味へと味わいも変化していきます。現場でつまずきやすいのは、色の変化が最後の数秒で一気に進む点です。色だけを見ていると判断が遅れやすいため、温度計と色の両方を確認しながら、狙った状態に近づいたら鍋のそばを離れないことが現場でのコツです。
カラメル化は、砂糖が加熱によって褐色の色素と香気成分に変化する化学反応そのものを指す言葉です。一方でカラメル段階は、そのカラメル化が進んでいく過程を色調や温度帯で区分した状態のことをいいます。カラメル化という反応のなかに、複数のカラメル段階が含まれているとイメージすると分かりやすいです。
必須ではありませんが、あると見極めの精度が上がります。色だけで判断すると、鍋の材質や照明の当たり方によって見え方が変わることがあるため、温度計を併用して数値でも確認すると、狙った色調により再現性高く仕上げやすくなります。
一度濃い黒褐色まで進んでしまったカラメルは、風味を元に戻すことはできません。焦げた分を使うのではなく、量が少なければ思い切って作り直すのが基本の対処法です。次回は狙った色より少し手前で火から下ろし、余熱の分を見込んで仕上げるとうまくいきやすくなります。

執筆者 森岡千明|株式会社スナックミー パティシエ・商品開発
大阪のデザート専門店や東京の三ツ星レストラン、ケーキ店などでパティシエとして経験を積んだのち、株式会社スナックミーへ入社。商品開発職を経て、現在はカスタマーサポートを担当。商品開発で培った経験をもとに、お客さま一人ひとりの声にていねいに向き合いながら、福利厚生向け置き菓子の魅力や「おやつ時間」の楽しみ方を伝えるコンテンツ制作にも携わる。好きなおやつは『さつまいもチップス』と『サクほろ 濃厚ココアクッキー』。
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