
コンタミネーション【英:contamination】とは、原材料として使用していないアレルゲンや異物が、製造工程で意図せず食品に混入してしまうことです。洗浄不足や動線の共有が主な原因となり、放置するとアレルギー事故や製品回収につながります。この記事では発生原因と現場での防止策、原材料表示との関係、実務でつまずきやすいポイントを解説します。
コンタミネーションとは、意図しない原料や異物が製造工程で食品に混入してしまう現象です。
食品衛生の分野では「コンタミ」と略されることも多く、とくに卵・乳・小麦・そば・落花生・えび・かになどの特定原材料が、指定していない製品に紛れ込むケースが問題視されます。原材料そのものに含まれる場合と違い、コンタミネーションは製造ラインや保管環境を介して二次的に混入する点が特徴です。完全に排除することは難しく、どこまでリスクを許容し、どう管理するかが菓子製造の実務課題になります。
コンタミネーションが起こる主な原因は、同じ製造ラインや器具を複数の商品で共用することです。清掃が不十分なまま次の製品を製造したり、原材料を保管する棚や容器を共有したりすると、目に見えない量のアレルゲンが混入します。とくに小麦粉やナッツ類のような粉体は、作業中に舞い上がって空気中を漂い、離れた場所の製品にまで付着することがあるため注意が必要です。
防止策の基本は、アレルゲンを含む製品と含まない製品の動線・器具・保管場所を分ける「ゾーニング」です。専用ラインの確保が難しい場合は、アレルゲンを含まない製品を先に製造し、含む製品を後回しにする順序管理も有効です。現場では主に次のような対策が組み合わせて使われます。
専用の器具・保管場所を用意し、共用しない
アルカリ性洗剤など効果的な洗浄方法を手順化する
粉体原料は舞い上がりを避け、床に近い場所で他と離して保管する
作業手順書にアレルゲン管理のルールを明文化する
実際の事例では、チョコレート製品のアレルゲン表示欄に「牛乳」の記載がなかったにもかかわらず、同じラインで牛乳を含む製品を製造していたために利用者がじんましんを起こしたケースが知られています。ナッツを含む製品と含まない製品を同一ラインで製造していた工場が、ゾーニングの徹底と専用装置の導入によって交差汚染を防止した事例も報告されています。
現場でつまずきやすいのは、洗浄や順序管理を徹底していても、コンタミネーションのリスクを完全にゼロにはできない点です。そのため消費者庁は、可能性が残る場合に注意喚起表示を行うことを推奨しています。発注側・製造側とも「表示していないから含まれていない」と誤解しないこと、委託先を含めた製造ライン全体の管理状況を確認することが実務上のポイントです。
異物混入は、髪の毛や虫、金属片など本来食品に含まれるべきでないものが物理的に混ざることを指します。一方コンタミネーションは、主にアレルゲンなど別の原材料が製造工程を介して意図せず混入することを指し、対象や発生経路が異なります。
特定原材料そのものを使用していなくても、同じラインで扱っている場合は「本製品の製造ラインでは〇〇を含む製品を製造しています」といった注意喚起表示が行われることがあります。これは義務表示ではなく推奨されている任意の表示です。
専用ラインを確保すれば理論上はゼロに近づけられますが、多品種を扱う工場では設備上の制約から完全排除が難しいのが実情です。そのためゾーニングや洗浄、順序管理などの対策を組み合わせ、リスクを継続的に低減する運用が現実的な目標になります。

執筆者 森岡千明|株式会社スナックミー パティシエ・商品開発
大阪のデザート専門店や東京の三ツ星レストラン、ケーキ店などでパティシエとして経験を積んだのち、株式会社スナックミーへ入社。商品開発職を経て、現在はカスタマーサポートを担当。商品開発で培った経験をもとに、お客さま一人ひとりの声にていねいに向き合いながら、福利厚生向け置き菓子の魅力や「おやつ時間」の楽しみ方を伝えるコンテンツ制作にも携わる。好きなおやつは『さつまいもチップス』と『サクほろ 濃厚ココアクッキー』。
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