
ポマード化とは、バターなどの油脂を常温でやわらかく練り、指で押すと跡が残る程度のクリーム状にすることです。溶かしバターとは違い、固体と液体が適度に混ざり合った状態を指します。シュガーバッター法をはじめ、多くの焼き菓子づくりの土台となる工程です。この記事では、ポマード化の意味と仕組み、現場での扱い方、よくある質問までをわかりやすく解説します。
ポマード化とは、バターなどの油脂を練って、やわらかいクリーム状にすることです。
ポマード化という名前は、整髪料の「ポマード」【仏:pommade】のようなやわらかさに由来するといわれています。バターは冷えていると硬く、温めすぎると完全に液体になりますが、その中間にあたる20〜23℃前後まで戻すと、指で押すとすっと跡が残るくらいの、練りやすいクリーム状になります。この状態を保ったまま砂糖や卵と合わせることで、生地に空気を含ませやすくなります。
バターは、脂肪分と水分、乳固形分が混ざり合ったエマルジョンです。冷えている間は脂肪の結晶がかたく結びついていますが、20〜23℃程度まで温度が上がると、一部の結晶だけがやわらかくなり、固体と液体が適度に共存した状態になります。この「かたさとやわらかさが同居した状態」こそが、ポマード化の正体です。
溶かしバターは脂肪の結晶がすべて溶けきった均一な液体のため、砂糖と混ぜ合わせても空気を抱き込む隙間ができません。一方ポマード状のバターは、結晶が作る網目構造がほどよく残っているので、練り混ぜる過程で細かい気泡を取り込み、そのまま形を保つことができます。この保形性の高さが、生地をふっくらと膨らませる力のもとになります。
また、ポマード状は水分と脂肪をつなぎとめる乳化力も保たれているため、卵などの水分を含む材料を少しずつ加えてもなじみやすいという特徴があります。溶かしバターでは同じように卵を加えると水と油が分離しやすく、この点でも扱いやすさに差が出ます。
指で軽く押してすっと跡が残るくらいが目安の状態です。押しても跡がつかず弾き返すようならまだ温度が低く、逆に指がバターの中に沈み込むようであれば、すでに脂肪の結晶が溶けすぎているサインです。溶けすぎた状態で使うと空気を抱き込む力が弱まり、生地の仕上がりが油っぽく重たくなりやすくなります。
ポマード化したバターは、シュガーバッター法によるパウンドケーキやクッキーの生地づくりのほか、アーモンドクリーム(フランジパーヌ)やバタークリームなど、バターに空気やほかの材料を練り込む工程で幅広く使われます。適切にポマード化できていないと、卵を加えた際に分離しやすくなったり、生地がなめらかに仕上がらなかったりする原因になります。
現場でつまずきやすいのは、電子レンジや湯煎で急いで温めすぎてしまうケースです。表面だけ先に溶けてしまい、内部では一部がまだ冷たいままということも珍しくありません。数十秒ずつ様子を見ながら加熱し、途中で全体を練り混ぜて温度をならすことが、ポマード状を安定して作るコツです。
完全に液体になってしまうと、脂肪の結晶構造が崩れ、そのままではポマード状に戻せません。冷蔵庫で冷やしながら少しずつ練り直すか、冷たいバターを少量加えて温度を下げると、練り直せる硬さに近づけられる場合があります。時間に余裕があれば、一度冷やし固めてから改めて常温に戻すほうが確実です。
バターを小さく切り分けると表面積が増え、短時間で全体の温度を均一に上げやすくなります。電子レンジを使う場合は数秒ずつ加熱して様子を見ることが大切です。直接加熱がしにくい場合は、湯煎で容器越しに温めるとムラになりにくく、失敗を防ぎやすくなります。
別のものです。ポマード状は固体と液体が適度に共存したやわらかいクリーム状の状態を指しますが、溶かしバターは脂肪の結晶がすべて溶けきった完全な液体の状態です。空気を含ませたいシュガーバッター法ではポマード状が、生地に均一に混ぜ込みたい溶かしバター法では溶かしバターが使われます。

執筆者 森岡千明|株式会社スナックミー パティシエ・商品開発
大阪のデザート専門店や東京の三ツ星レストラン、ケーキ店などでパティシエとして経験を積んだのち、株式会社スナックミーへ入社。商品開発職を経て、現在はカスタマーサポートを担当。商品開発で培った経験をもとに、お客さま一人ひとりの声にていねいに向き合いながら、福利厚生向け置き菓子の魅力や「おやつ時間」の楽しみ方を伝えるコンテンツ制作にも携わる。好きなおやつは『さつまいもチップス』と『サクほろ 濃厚ココアクッキー』。
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