数種類のチョコレートがのった楕円形のお皿

テンパリングとは?やり方とコツをわかりやすく解説 

チョコレートを溶かして固め直すだけでは、表面が白く曇ったり、口どけの悪い仕上がりになってしまいます。テンパリングは、その原因となる結晶のばらつきを整える温度調整の技法です。この記事では、基本の手順・代表的な3つの方法・手作業と機械(テンパリングマシン)の違いまで、現場で押さえておきたいポイントをわかりやすく解説します。

テンパリングとは

テンパリングとは、チョコレートのカカオバターの結晶を均一に整える温度調整の技法です。
テンパリング【仏:tempérage/英:tempering】は、製菓の現場では「調温」と呼ばれることもあります。チョコレートに含まれるカカオバターは複数の結晶構造を持ち、そのうち安定した「Ⅴ型」結晶を均一に揃えることで、ツヤのある表面・パキッとした割れ口・型からの離れやすさ・常温での保存性が得られます。逆にテンパリングが不十分だと、不安定な結晶や粗い結晶が混在した状態のまま固まり、ブルームと呼ばれる白い斑点や、口どけの悪いざらついた質感の原因になります。テンパリングは「溶かす」ことと「固める」ことの間にある、品質を決定づける工程です。

テンパリングの手順とコツ

基本の4ステップ

テンパリングは、おおむね次の4ステップで進みます。具体的な温度はチョコレートの種類・メーカーによって異なるため目安としてご覧ください。

  1. 融解:チョコレートを45〜50℃前後まで加熱し、すべての結晶を一度溶かす

  2. 冷却:26〜27℃前後まで温度を下げ、安定・不安定な結晶を同時に生成させる

  3. 調整:ダーク31〜32℃・ミルク29〜30℃・ホワイト27〜28℃前後まで少し温度を上げ、不安定な結晶だけを溶かす

  4. 仕上げ:適正温度を保ったまま、成形・コーティングなどの作業に使う

温度帯はダーク・ミルク・ホワイトで異なり、乳成分や糖分の配合が結晶化に影響するためです。

代表的な3つの方法

同じ温度カーブを実現する手段として、現場では主に3つの方法が使われます。

  • タブリール法:大理石などの台の上でチョコレートを練り広げながら冷やし、結晶を育てる方法

  • 水冷法:ボウルのまま氷水に当てて温度を下げ、その後少し温め直して整える方法

  • フレーク法(シーディング法):テンパリング済みのチョコレートを種結晶として少量ずつ加え、全体の結晶を揃える方法

タブリール法は温度管理の精度が高い一方、台の温度や練り方に技術が要ります。フレーク法は比較的扱いやすく、初めてテンパリングに取り組む場合にも向いています。

手作業と機械(テンパリングマシン・連続テンパリング)の違い

少量生産の現場ではタブリール法や水冷法による手作業のテンパリングが主流ですが、量が増えると温度のブレが品質不良につながりやすくなります。そこで使われるのがテンパリングマシンです。内部で加熱・冷却・攪拌を自動制御し、設定した温度帯を保ったまま安定してテンパリングを行えます。

大量生産や成形ラインへの組み込みでは、連続テンパリング(連続式)が使われます。スクリューで撹拌しながら複数の冷却・再加熱ゾーンを連続的に通過させる方式で、時間あたり数十〜数百kg規模の処理が可能です。バッチ式(都度チョコレートを入れ替える方式)に比べ、コーティングや型流しの前工程として途切れなくチョコレートを供給できる点が大きな違いです。

テンパリングを使う場面とコツ

テンパリングは、板チョコレートやボンボンショコラのコーティング(アンロバージュ)、モールドを使った成形チョコレート、装飾用パーツなど、チョコレートを固めて仕上げるほぼすべての工程で必要になります。溶かしたチョコレートをそのまま型に流したり、コーティングに使ったりすると、先述のとおり結晶が整わずブルームや白濁の原因になるためです。

現場でつまずきやすいのは、室温や湿度による温度のブレです。特にタブリール法では台や室温が低すぎると急激に結晶化が進み、逆に高いと結晶が育たず緩い状態のままになります。少量の水分や油分が混入すると、なめらかさが失われて分離したような状態(シージング)になることもあるため、道具の水気には注意が必要です。テンパリングが取れているかどうかは、少量を紙やOPPシート、パレットなどに垂らし、室温で数分以内に艶を保ったまま固まるかで見極められます。

テンパリングに関するよくある質問

テンパリングをしないとどうなりますか?

結晶がばらついたまま固まるため、表面が白く曇るブルームや、口どけが悪くざらついた質感になりやすくなります。型からの離れも悪くなり、仕上がりの光沢や割れ口のパキッとした食感も損なわれます。

テンパリングに失敗した場合、やり直せますか?

多くの場合、再度加熱してすべての結晶を溶かし、最初の手順からやり直すことで回復できます。ただし他の材料が混入していたり温めすぎて焦げついていたりする場合は、やり直しが難しいこともあります。

テンパリングマシンと手作業(タブリール法など)の違いは何ですか?

原理は同じで、結晶を安定した状態に整える点は変わりません。手作業は少量向きで技術が求められる一方、テンパリングマシンは温度管理を自動化でき、量が増えても安定した品質を保ちやすい点が異なります。

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執筆者 森岡千明|株式会社スナックミー パティシエ・商品開発

大阪のデザート専門店や東京の三ツ星レストラン、ケーキ店などでパティシエとして経験を積んだのち、株式会社スナックミーへ入社。商品開発職を経て、現在はカスタマーサポートを担当。商品開発で培った経験をもとに、お客さま一人ひとりの声にていねいに向き合いながら、福利厚生向け置き菓子の魅力や「おやつ時間」の楽しみ方を伝えるコンテンツ制作にも携わる。好きなおやつは『さつまいもチップス』と『サクほろ 濃厚ココアクッキー』。

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