
代用油脂とは、チョコレートなどの菓子でカカオバターの一部または全部の代わりに使われる食用油脂です。コストを抑えたり、夏場でも溶けにくくしたりする目的で、コンパウンドチョコレートや準チョコレートに広く使われています。この記事では、代用油脂の種類や準チョコレートとの関係、使用時に気をつけたいポイントまでをわかりやすく解説します。
代用油脂とは、チョコレートなどでカカオバターの一部または全部の代わりに使われる食用油脂のことです。
カカオバターは価格が高く、温度によって溶け方が変わりやすいという特徴があります。代用油脂は、パーム油やシア脂、ヤシ油などを加工して作られ、カカオバターの機能を代わりに担う目的で使われます。融点を調整することで夏場でも溶けにくくしたり、テンパリング(温度調整)の手間を省いたりできるため、製造コストや工程の負担を抑える手段として、コンパウンドチョコレートや準チョコレートで広く使われています。
代用油脂は、カカオバターとの相性によって大きく3種類に分けられます。
CBE:カカオバターに近い性質を持つタイプ。シア脂やパーム油の分別油をブレンドして作られ、カカオバターと物理的になじみやすい
CBS:パーム核油やヤシ油を原料とするラウリン系油脂。カカオバターとは混ざりにくく、全量を置き換える用途で使われる
CBR:パーム油などを原料とする非ラウリン系油脂。カカオバターと部分的になじむため、一部を置き換える用途に向く
これらはカカオバターとの相性による技術的な分類ですが、近年はカカオ豆の価格高騰や環境負荷への配慮を背景に、サステナブル代替油脂と呼ばれる油脂も注目されています。RSPO(持続可能なパーム油のための円卓会議)認証パーム油やヒマワリ油など調達方法に配慮した油脂のほか、エンドウ豆やキャロブなどカカオ豆を使わない原料で作られた製品も登場しています。
「チョコレート類の表示に関する公正競争規約」では、カカオマスやココアバターにココアバター以外の食用油脂を加えて作った生地が全重量の60%以上を占めるものを「準チョコレート」と呼びます。代用油脂を使ったチョコレート風の菓子の多くは、この準チョコレートに分類されます。
代用油脂は、コンビニやスーパーで売られている手頃な価格のチョコレート菓子、コーティング用チョコレート、業務用の焼き菓子の艶出しなど、コストと作業効率を優先したい場面で幅広く使われています。テンパリングが不要なタイプも多く、温度管理の設備や技術が十分でない現場でも扱いやすい点が支持されています。
一方で、現場で気をつけたいのが、カカオバターとの混ぜ合わせです。CBSやCBRのようにカカオバターと混ざりにくい代用油脂を、本物のチョコレートに一定以上の割合で混ぜると、口どけが悪くなったり、白い粉状の膜が浮き出るブルーム現象が起きやすくなったりします。原材料表示上も、代用油脂を加えることで「チョコレート」ではなく「準チョコレート」の扱いになる場合があるため、配合設計の段階で表示区分への影響も確認しておく必要があります。
カカオバターはカカオ豆から取れる天然の油脂で、チョコレート特有の口どけを生み出します。代用油脂は、パーム油やシア脂などを原料に加工した油脂で、カカオバターの機能の一部を安価に代替する目的で使われます。
CBEはカカオバターに近い性質を持ち、少量なら混ぜても品質に大きな影響が出にくいタイプです。CBSとCBRはカカオバターとなじみにくく、主にカカオバターの全部または一部を置き換える目的で使われます。
代用油脂そのものが体に悪いわけではありません。ただし製品によって使われている油脂の種類や量が異なるため、気になる場合は原材料表示でチョコレートか準チョコレートかを確認するとよいでしょう。

執筆者 森岡千明|株式会社スナックミー パティシエ・商品開発
大阪のデザート専門店や東京の三ツ星レストラン、ケーキ店などでパティシエとして経験を積んだのち、株式会社スナックミーへ入社。商品開発職を経て、現在はカスタマーサポートを担当。商品開発で培った経験をもとに、お客さま一人ひとりの声にていねいに向き合いながら、福利厚生向け置き菓子の魅力や「おやつ時間」の楽しみ方を伝えるコンテンツ制作にも携わる。好きなおやつは『さつまいもチップス』と『サクほろ 濃厚ココアクッキー』。
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