
金属検出機とは、製造ラインを通過する食品の中に金属異物が混入していないかを検査する機器です。コイルを使って磁力線や渦電流の乱れを捉えることで、目に見えない金属片も検出できます。この記事では、検出の仕組みと使い方、選び方、現場での運用のコツまでをわかりやすく解説します。
金属検出機とは、コイルを使って製品中の金属異物を検出する検査機器のことです。
金属検出機は、製菓・食品製造の出荷前工程で欠かせない品質管理機器です。製品がベルトコンベアで検出ヘッドを通過する際、内部に金属が混入していると電磁気的な変化が起こり、それを検知してアラームや排除ゲートが作動します。異物混入を最終出荷前に食い止める「最後の砦」として、多くの工場でライン末端に設置されています。
金属検出機が担う役割は、大きく3つに整理できます。
1つ目は、製造ライン上で金属片が混入した製品をいち早く見つけて出荷を阻止する「異物混入の防止」です。
2つ目は、消費者の口に入るおやつの安全を確保し、事故や信用失墜を防ぐ「ブランドの信頼維持」です。
3つ目は、安全管理を徹底することで工場全体の衛生・品質レベルを均一に保つ「品質の安定」です。この3つを果たすことで、金属検出機は工場の品質保証体制の土台を支えています。
金属検出機のヘッドは、1個の発信コイルと2個の受信コイルで構成されています。異物が混入していない製品が通過すると、受信コイルのバランスは平衡状態を保ちます。鉄が混入すると磁化によって磁力線が引き寄せられバランスが崩れ、ステンレスなどの非磁性金属が混入すると渦電流が発生してバランスが崩れます。このわずかな乱れをとらえて金属混入を検知する仕組みです。
金属検出機が検知できる金属は、大きく鉄(磁性体)と非鉄金属(非磁性体)に分けられます。鉄は磁化しやすいため、体積に応じて微粉末でも比較的高い感度で検出できます。一方、ステンレス・アルミニウム・銅・真鍮といった非鉄金属は、渦電流の発生量(導電性)で検知するため、同じ大きさでも鉄より検出感度が下がる傾向があります。中でもSUS304のような非磁性ステンレスは、切削や曲げ加工・着磁の状態によって検出レベルが変わり、金属の中でも特に見つけにくい部類とされています。
検出感度は、金属の種類・形状・製品の性質という3つの要素で決まります。同じ大きさの金属片でも、磁性と導電性の違いによって検出感度は大きく変わります。また、水分や塩分を多く含む製品は、それ自体が電磁気的な信号(製品効果)を生みやすく、金属との判別が難しくなる点にも注意が必要です。
金属検出機は薄いアルミ箔やサビなど小さな金属片の検出に強い一方、アルミ包材ごしの内容物検査は苦手とします。ガラス・硬質プラスチック・骨など金属以外の異物も検出したい場合はX線検査機が向いており、両者を併用する工場も少なくありません。導入時は、検出したい異物の種類と製品特性に応じて機種を選ぶことが重要です。
金属検出機は製造ラインの終端、包装後の製品が最終検品として通過する位置に設置されるのが一般的です。稼働中は「テストピース」と呼ばれる鉄(Fe)・ステンレス(SUS)の校正用治具を製品と同じ容器に入れて定期的に通し、正常に検出できているかを確認します。この動作確認は始業時・終業時に加え、一定時間ごとに行う運用が一般的です。
現場でつまずきやすいのは感度設定です。感度を上げすぎると製品自体の水分・塩分に反応して誤作動(過検知)が増え、ラインが頻繁に止まってしまいます。逆に感度を下げすぎると、小さな金属片を見逃すリスクが生じます。製品ごとに適正な感度をあらかじめ設定し、原材料や配合が変わった際は感度の見直しを行うことが、安定稼働の鍵になります。
製菓の製造・出荷現場では、次のような疑問がよく挙がります。
生地に混ざった小さな金属片(泡立て器の欠けや包丁の刃こぼれなど)も、検出感度の範囲内であれば見つけられます。ただし刃こぼれ自体は日常点検で防ぐことが前提です。
検出器のアラームが鳴った場合は、該当ロットをラインから外して一時保留にし、手作業での再検査と原因究明(機器点検・原材料ロットの確認等)を行うのが一般的な対応です。
焼き型やケーキ型のコーティング剥離・欠けも金属混入の原因になり得るため、始業前点検で型や調理器具の状態を確認しておくことが、検出以前の予防策になります。
金属検出機はコイルの電磁気反応で金属のみを検出する機器です。一方X線検査機は、金属に加えガラスや硬質プラスチック、骨なども検出でき、内容物の形状確認もできます。ただし薄いアルミ箔やサビの検出は金属検出機の方が得意です。
テストピースとは、金属検出機が正常に作動しているかを確認するための校正用治具です。鉄・ステンレスなど定量の金属片が密閉ケースに入っており、定期的に製品に通すことで検出精度が保たれているかを確認します。
はい。金属検出機は金属以外の異物(ガラス・プラスチック・骨など)は検出できません。また、アルミ箔で包まれた製品は内部の金属を検出しにくい場合があります。これらを補うためX線検査機を併用する工場もあります。

執筆者 森岡千明|株式会社スナックミー パティシエ・商品開発
大阪のデザート専門店や東京の三ツ星レストラン、ケーキ店などでパティシエとして経験を積んだのち、株式会社スナックミーへ入社。商品開発職を経て、現在はカスタマーサポートを担当。商品開発で培った経験をもとに、お客さま一人ひとりの声にていねいに向き合いながら、福利厚生向け置き菓子の魅力や「おやつ時間」の楽しみ方を伝えるコンテンツ制作にも携わる。好きなおやつは『さつまいもチップス』と『サクほろ 濃厚ココアクッキー』。
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