
吸湿とは、空気中に含まれる水分を食品や原材料が吸収し、含水率が高まる現象のことです。クッキーやせんべいなど、焼き上げた直後はパリッとしている乾燥系の菓子ほど影響を受けやすく、保管環境や包装によって食感が大きく左右されます。この記事では、吸湿が起こる仕組みと、製菓の現場での防止対策・対応方法までをわかりやすく解説します。
吸湿とは、空気中の水分子を食品や原材料が吸い込み、含水率が上がる現象のことです。
焼き菓子や乾物のように水分の少ない食品は、周囲の空気の湿度が自身より高いとき、その差を埋めようとして水分を取り込みます。この現象が進むと、クッキーのサクサク感やせんべいのパリッとした食感が失われ、しっとり・ふにゃっとした状態に変化します。反対に、水分の多い食品が乾燥した空気中で水分を失う現象は「乾燥」や「離水」と呼ばれ、吸湿とは逆方向の水分移動にあたります。
吸湿は、食品の水分活性と周囲の相対湿度に差があるときに起こります。水分子は湿度の高いほうから低いほうへ移動する性質があるため、乾燥した菓子ほど周囲の湿気を吸いやすくなります。特にクッキーやせんべいは焼成時にできる細かい気泡や断面の穴が多く、表面積が大きいぶん水分を取り込みやすい構造です。また、温度が低いほうが同じ相対湿度でも吸湿が進みやすいという研究結果もあり、保管温度と湿度の両方が関わる現象です。
現場では、防湿性を持たせた包装資材を菓子の敷き紙や個包装に使うことで、吸湿を遅らせます。主な資材と効果は次のとおりです。
グラシン紙:半透明でなめらかな紙。ある程度の防湿性があり、焼き菓子の敷き紙や個包装によく使われます
パラフィン紙(ワックスペーパー):表面をワックスでコーティングした紙で、水分や油をはじく力がグラシン紙より高いのが特徴です
ポリラミネート紙:紙にポリエチレンフィルムを貼り合わせた複合素材で、単体の紙よりも防湿性・耐水性が高く仕上がります
シートドライヤー:吸湿性のある基材をフィルムでラミネートしたシート状の乾燥剤。せんべいやあられの個包装で台紙がわりに使われ、割れ防止と吸湿対策を兼ねられます
包装資材に加えて、乾燥剤の併用が基本の対策です。代表的なシリカゲルは多孔質構造の中に水分子を取り込み、菓子側が吸うはずだった水分を先に引き受ける役割を果たします。また、包装後の商品を保管する倉庫や店舗のバックヤードでも、湿度計を使って湿度管理を行い、高湿度になりやすい梅雨時期や夏場は除湿機を稼働させるといった対応が必要です。開封後は密閉容器に移し替え、なるべく早く食べきるよう案内することも、現場からできる対策のひとつです。
乾燥系の菓子は、開封直後は問題なくても、袋を開けたまま常温放置したり、梅雨時期や夏場の高湿度環境で保管したりすると吸湿が進みやすくなります。特にクッキー・せんべい・ウエハース・粉糖をまぶした菓子などは、表面や断面から水分を取り込みやすく、影響が食感に直結しやすい品目です。
現場では、包装工程で乾燥剤を封入するタイミングを工程に組み込むこと、保管庫の湿度管理を徹底することが基本の対応になります。出荷前の検品では、見た目だけでなく実際に触れて食感を確認することも吸湿の見極めに有効です。一度吸湿が進んでしまった商品は、風味や食感が焼きたての状態と異なるため、良品と区別して扱う判断が必要です。
吸湿は食品が空気中の水分を吸い込む現象で、離水は食品内部の水分が外へにじみ出る現象です。方向は逆ですが、どちらも食品の水分バランスが崩れることで起こる点は共通しています。
代表的なものはシリカゲルで、多孔質構造で水分子を吸着します。ほかにも、包材自体に防湿機能を持たせたグラシン紙やポリラミネート紙、シートドライヤーなどが現場で使われています。
ラップをかけずに電子レンジやオーブンで軽く加熱すると、余分な水分が飛び、パリッとした食感がある程度戻ることがあります。ただし風味や食感が焼きたての状態と完全に同じには戻らない点に注意が必要です。

執筆者 森岡千明|株式会社スナックミー パティシエ・商品開発
大阪のデザート専門店や東京の三ツ星レストラン、ケーキ店などでパティシエとして経験を積んだのち、株式会社スナックミーへ入社。商品開発職を経て、現在はカスタマーサポートを担当。商品開発で培った経験をもとに、お客さま一人ひとりの声にていねいに向き合いながら、福利厚生向け置き菓子の魅力や「おやつ時間」の楽しみ方を伝えるコンテンツ制作にも携わる。好きなおやつは『さつまいもチップス』と『サクほろ 濃厚ココアクッキー』。
まずはエントリー!
・都内で求職中のパティシエの方へ
・店舗アルバイトや製造パートの方へ
・物流の現場に興味のある方へ