
モールドとは、チョコレートや焼き菓子などを液状の生地を流し込んで成形するための型のことです。製菓の現場ではシリコン製やポリカーボネート製などさまざまな素材のモールドが使われ、テンパリングしたチョコレートを流し込んで固める「モールド製法」に欠かせない道具です。この記事では、モールドの種類や選び方、使い方の基本、現場での扱い方のコツまで解説します。
モールドとは、チョコレートや焼き菓子などの生地を流し込んで成形するための型のことです。
モールド【英:mold】は、英語で「型」を意味する言葉が製菓業界にそのまま定着した名称です。溶かして温度調整(テンパリング)したチョコレートをモールドに流し込み、冷やし固めて型から取り出す製法は「モールド製法」と呼ばれ、板チョコレートやボンボンショコラ、立体的なフィギュールなど幅広い製品づくりに使われています。焼き菓子の分野でも、生地を型に入れて焼き上げるための道具として使われ、素材や形状によって用途が細かく分かれます。
モールドの素材は大きくシリコン製とポリカーボネート(プラスチック)製の2種類に分かれます。シリコン製は柔らかく、複雑な形状のチョコレートでも型崩れさせずに取り出しやすいのが特徴で、繰り返し使え洗いやすい一方、仕上がりの艶はやや控えめです。ポリカーボネート製は硬く安定感があり、チョコレートの表面に高級感のある艶を出しやすいうえ、型が透明なので固まる過程を目視で確認できます。焼き菓子用には、金属製やシリコン製の焼型がモールドとして使われます。
モールドを選ぶ際は、扱う商品の規模と仕上がりの用途を基準にします。個人店や小ロットの試作段階では、扱いやすく初期コストを抑えられるシリコン製が向いています。艶のある高級感を出したいボンボンショコラやギフト向け商品では、ポリカーボネート製が選ばれる傾向にあります。量産工場では、同時に多数個取りできる大型モールドや、機械での流し込みに対応した規格品を選ぶことも重要な判断基準になります。
モールドはチョコレートのように冷やして固める生地に向いており、粘度の高すぎる生地や気泡が抜けにくい生地は、細部まで行き渡らず気泡やムラの原因になります。逆に、パウンドケーキやマドレーヌのような焼き菓子生地は、シリコンや金属のモールドに直接流し込んで焼成する使い方に向いています。生クリームを使うムースなど水分の多い生地は、離型時に形が崩れやすいため、モールドの深さや形状との相性を確認して使う必要があります。
チョコレートのモールドは、まずアルコールなどで型の内側をきれいに拭き上げてから使います。テンパリングを終えたチョコレートを流し込み、型を軽く振動させて気泡を抜いたら、余分なチョコレートをすくい取って薄い層に整えます。冷蔵庫や涼しい場所でしっかり固めたあと、型を軽くひねるようにして取り出すのが基本の流れです。使用後は柔らかい布で拭き、傷や汚れを残さないよう手入れをして保管します。
現場では、同じモールドでもテンパリングの精度によって仕上がりの艶や離型のしやすさが大きく変わります。温度管理が不十分なままチョコレートを流し込むと、型から外した後に白い斑点状の油脂ブルームが出たり、表面がくすんだ仕上がりになったりすることがあります。ポリカーボネート製のモールドは特に、内側にわずかな傷や汚れが残っているだけでも艶に影響するため、使用前の拭き上げが仕上がりを左右する重要な工程です。
複数のモールドを同時に使う現場では、型ごとの微妙な温度差が固まる時間のズレにつながり、取り出すタイミングを揃えにくいという声もあります。無理に型から外そうとすると欠けや割れが起きやすいため、十分に冷え切るまで待つことが基本のコツです。シリコン製は繰り返し使ううちに油分が染み込みやすくなるため、洗浄・乾燥を徹底し、においや変色が出ていないか定期的に確認することも欠かせません。
ポリカーボネート型はモールドの一種です。モールドはチョコレートや焼き菓子を成形する型全般を指す総称で、その中に素材の異なるポリカーボネート製やシリコン製などが含まれます。用途に応じてどちらを使うかを選びます。
仕上がりの艶や量産のしやすさを重視するならポリカーボネート製、複雑な形状への対応や扱いやすさを重視するならシリコン製が向いています。ギフト向けの高級感を出したい商品はポリカーボネート製、型のデザインが多品種で頻繁に切り替わる現場ではシリコン製が選ばれる傾向にあります。
テンパリングの温度が適切でなかったり、十分に冷え切る前に外そうとしたりすると起こりやすい現象です。冷蔵庫でしっかり冷やしてから軽くひねるように外し、それでも取れない場合は型の汚れや傷を確認してみましょう。

執筆者 森岡千明|株式会社スナックミー パティシエ・商品開発
大阪のデザート専門店や東京の三ツ星レストラン、ケーキ店などでパティシエとして経験を積んだのち、株式会社スナックミーへ入社。商品開発職を経て、現在はカスタマーサポートを担当。商品開発で培った経験をもとに、お客さま一人ひとりの声にていねいに向き合いながら、福利厚生向け置き菓子の魅力や「おやつ時間」の楽しみ方を伝えるコンテンツ制作にも携わる。好きなおやつは『さつまいもチップス』と『サクほろ 濃厚ココアクッキー』。
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