
オートリーズとは、パン作りで小麦粉と水だけを混ぜ合わせ、こねる前に生地をしばらく休ませる工程です。手をほとんど加えずにグルテンを形成できることから、ハード系パンを中心に広く使われています。この記事では、オートリーズの意味と由来、基本の手順とコツ、現場での使われ方、よくある質問までをわかりやすく解説します。
オートリーズとは、パン作りで粉と水だけを混ぜ合わせ、生地をしばらく休ませる工程です。
オートリーズという名前は、フランス語の「autolyse(自己融解)」に由来します。フランス国立製粉学校の教授だったレイモン・カルヴェル氏が、高級小麦粉「グリュオー粉」を使ったパンの品質改良のために考案した製法とされています。粉と水を合わせて休ませることで、粉がゆっくりと水分を吸収し、こねる力を加えなくても自然にグルテンが形成されていきます。これによりミキシング時間を短縮しながら、生地の伸展性や風味、色つやを高める効果が期待できます。
粉と水を計量する(塩・イーストは入れない。モルトを使う場合はここで加える)
ゴムベラなどで粉気がなくなる程度に大まかに混ぜ合わせる(こねすぎない)
ボウルにラップをかけ、常温で20〜60分ほど休ませる
休ませた生地に塩・イースト(酵母)などの残りの材料を加え、通常のミキシングを行う
失敗しないための最大のポイントは、休ませる間に塩・イーストを加えないことです。塩はグルテンの形成を妨げ、イーストを先に加えると休んでいる間に発酵が進み過ぎてしまうため、粉と水(モルトを使う場合はモルトも可)だけで休ませるのが基本です。休ませる時間は一般的に20〜60分程度で、生地の伸び方を見ながら次のミキシング工程に進むタイミングを判断します。
オートリーズは、バゲットやカンパーニュのように加水率が高く、副材料の少ないリーンな生地との相性がよい製法です。粉と水が主体の生地ほど吸水と伸展が進みやすく、効果を実感しやすいためです。一方、バターや砂糖、卵を多く含むブリオッシュや菓子パンのような生地は、油脂や糖分が粉の吸水を妨げてグルテン形成の効果が薄れやすいため不向きとされています。こうした生地では、オートリーズよりも後工程でのミキシング調整で仕上げるのが一般的です。
オートリーズは、バゲットやパン・ド・カンパーニュのような気泡が粗く香り高いハード系パンでよく使われる製法です。フランスの製パン技術として広まったのち、日本でもパン教室や専門書を通じて一般のパン作りにも普及しました。最近ではハード系だけでなく、食感を柔らかく仕上げたい生地に応用する例も見られます。
現場でつまずきやすいのは、気温や粉の吸水率を考慮せず一律の時間で休ませてしまうことです。気温が高い時期は生地の温度が上がりやすく、休ませている間に微生物由来の発酵が進んでしまうことがあるため、涼しい場所で管理する、または時間を短めに調整するといった工夫が必要です。また、オートリーズ後もこね過ぎると効果が薄れるため、通常より短いミキシング時間を意識することもポイントです。
どちらも生地を事前に休ませる点は似ていますが、目的と工程が異なります。オートリーズは粉と水だけを混ぜて短時間(20〜60分程度)休ませ、グルテン形成を促す工程です。一方、中種法は粉・水にイーストを加えた生地を数時間〜一晩発酵させ、風味の熟成やボリュームアップを主な目的とします。
一般的には20〜60分が目安とされています。使用する粉の吸水率や生地量によって最適な時間は変わるため、まずは30分程度から試し、生地のつながり方を見ながら調整するとよいでしょう。
粉がゆっくり水分を吸収してグルテンが自然に形成されるため、ミキシング時間を短縮でき、生地の伸展性が高まります。また、こね過ぎによる酸化を抑えられるため、焼き上がりの色や風味、香りが良くなる効果も期待できます。

執筆者 森岡千明|株式会社スナックミー パティシエ・商品開発
大阪のデザート専門店や東京の三ツ星レストラン、ケーキ店などでパティシエとして経験を積んだのち、株式会社スナックミーへ入社。商品開発職を経て、現在はカスタマーサポートを担当。商品開発で培った経験をもとに、お客さま一人ひとりの声にていねいに向き合いながら、福利厚生向け置き菓子の魅力や「おやつ時間」の楽しみ方を伝えるコンテンツ制作にも携わる。好きなおやつは『さつまいもチップス』と『サクほろ 濃厚ココアクッキー』。
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